「経営資源(マネジメント・リソース)」と聞いて、何が思い浮かんでくるでしょうか? 例えば、建設業の大型建機、製造業の工作機械などがそれに当たります。「それがないと仕事が進まない」ような、会社の資源です。大型建機は建設現場の監督同士で取り合いになるし、メインの工作機械にトラブルがあったりすると生産量がガクッと落ちてしまいます。それゆえ建機をどう遣り繰りするか、どんな機械を設備投資し保守するかといった「リソース管理」は、いずれでも最重要のマネジメント項目となっています。では皆さんが勤める病院、医療の経営資源とは何でしょうか? 言うまでもなく、それは「人的資源(ヒューマン・リソース)」でしょう。医療従事者がいないと、キュアもケアも進まないからです。つまり、医療の「リソース管理」=「人材の稼働状況の管理」となるのです。
労働関係法を遵守しつつ看護師の出勤シフトを組むことなどは、リソース管理の第一歩です。しかしこれは、出勤と法令遵守の現況を管理する仕組みに過ぎません。管理はさらに、その稼働状況を把握しながら、オーバーロード(過負荷)のリスクを抑えつつ、チームの生産性を引き上げていく枠組みへと発展させなければなりません。つまり管理職は、部下という人的資源の「リソース管理」をどのように行うか、という役割を持っていることになります。
リソース管理には欠かせない概念があります。①アポイントメント(会議や手術、家族面談など、相手と時間に合わせなければならない課業)、②パーソナルタスク(日常の処置や資料作成、電話連絡・メール送信など、自分の都合でできる課業)、③フロート(談話室での喫煙など、余裕時間)の3つです。「リソース管理」とは、各人材における上記①②③の組み合わせを把握して負荷の集中や偏りを廃し、部分の生産性向上が図れるよう支援し、各人のタスクの優先順位についてチーム全体の視点で変更を加えていく協働の進捗管理を言います。ある部下の1日にアポイントが詰まっていたり、フロートが放置されていたりしてはいけません。
そして、これらは以下の簡単な算式で表すことができます。
1日の総労働時間―アポイントメント(予定時間)ーパーソナルタスク(標準時間)×実行タスク数=フロート
(左辺がマイナスになれば、右辺は「フロート」ではなく「残業」)
ここではさらに、簡単な管理ツールを作ってみました。以下の表は、管理する部下メンバーにおける1日の「アポイントメント」の予定、それぞれが抱えている「個人(パーソナル)タスク」の件数を簡単にまとめるためのツールです。これを毎日はじめの10分程度、始業時ミーティングなどでチームの「リソース管理」を行ってみて下さい。これだけでも、チームの状況がよく見えてくるはずです。
ここではさらに、簡単な管理ツールを作ってみました。以下の表は、管理する部下メンバーにおける1日の「アポイントメント」の予定、それぞれが抱えている「個人(パーソナル)タスク」の件数を簡単にまとめるためのツールです。これを毎日はじめの10分程度、始業時ミーティングなどでチームの「リソース管理」を行ってみて下さい。これだけでも、チームの状況がよく見えてくるはずです。
管理職のあなたは部下それぞれに、どれだけのアポイントメントが入っているのか(こなせる範囲か)、その日に実行しようとしているタスクはアポイントメントの合間のどこで処理しようとしているのか(例えば、表の「佐藤さん」の曲線矢印)、フロートが大きすぎて人的資源が遊んでいないか(例えば「佐藤さん」は14時以降、アポイントもタスクもないので、他のメンバーのタスクを引き継ぐよう指示する。また、余裕時間の偏りがあれば、タスク割り当ての変更や優先順位の低いタスクの先送りなどを行う)について検討する。そして、個人の動きの制約となるアポイントメントの時間設定や短縮化、技能の向上により効率化できるのであればそのための教育研修、また、各タスクの優先順位を見極めるため部門間で情報共有を行い、さらには、フロートさえも単なるリフレッシュに留めることなくチームメンバー間のコミュニケーション促進を図る工夫など、様々なアイデアを行動に移して行く。それが、管理職の行う「リソース管理」なのです。
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