「A-1 圧迫骨折、A-2 大腿骨頸部骨折、A-3 脳梗塞‥。B-1 糖尿病、B-2 腎不全、B-3 胃がん‥」、そして「C-1 認知症、C-2 肺炎、C-3 インフルエンザ‥。D-1 高血圧、D-2 高脂血症、D-3 褥瘡‥」
これは都市型中規模急性期(約300床)の病院で職員研修を行った際、出席者の皆さんに自院の診療実績仕分けをしていただいた結果です。仕分けの仕方として、以下のごく簡単な指示を出しています。自院のここ2~3年の診療実績から、まず「AとB」として診療報酬点数が比較的「高い」グループ、つまり儲かる、美味しい患者さん(不謹慎で申し訳ありません)を分ける。他方、「CとD」は「低い」グループとして分けます(以下、感想略)。さらに、それぞれを「さいきん増えている or 減っている」で仕分けてもらいます。ということで「AとC」が増加中、「BとD」が減少中です。
ここでは、とりあえず主要な上位3つだけ挙げていますが、実際は100近く列挙されています。研修では大きめの机に模造紙を広げ、多職種協働のグループワークで、ああでもないこうでもないと議論しながら全ての病名を網羅するよう、作業を指示しています(こういう、多職種のワイガヤが重要なのです)。
病院経営にとって都合の良い患者は間違いなくA・B群、とりわけA群(点数高く増加中)です。点数が高いのですから(増加中ならなおさら)、色々プロモーション策を講じなければなりません。では「その方法は?」と聞くと、どの病院で聞いても大抵は、ネガティブ方向に発言が向いてしまいます。まず「医師が足りない(整形のドクターは疲労困憊。脳外科医がいない)」から始まり、「看護師が足りない、質が低い(認定看護師が出てこない)」、そして「PT・OTが足りない、質が低い(認定セラピストが出てこない)」、さらには「MSWが足りない、質が低い(医療連携活動に消極的)」。こうしたネガティブ議論の結論は、「病院にカネもコネもない、経営陣の質が低い」。全て「他人のせい」です。
病院経営にとって都合の良い患者は間違いなくA・B群、とりわけA群(点数高く増加中)です。点数が高いのですから(増加中ならなおさら)、色々プロモーション策を講じなければなりません。では「その方法は?」と聞くと、どの病院で聞いても大抵は、ネガティブ方向に発言が向いてしまいます。まず「医師が足りない(整形のドクターは疲労困憊。脳外科医がいない)」から始まり、「看護師が足りない、質が低い(認定看護師が出てこない)」、そして「PT・OTが足りない、質が低い(認定セラピストが出てこない)」、さらには「MSWが足りない、質が低い(医療連携活動に消極的)」。こうしたネガティブ議論の結論は、「病院にカネもコネもない、経営陣の質が低い」。全て「他人のせい」です。
一方、C・D群については、どうでしょうか。議論の結論から言ってしまうと、「病院は患者を選べない(選んではいけない)、応召義務があるので仕方ない」。全て「政策のせい」です。
さぁ私としては、ここからが研修の本番です。参加者からのネガティブが出きったところで、こう問いかけます。まず「医師も看護師もPT・OTもMSWも、確かに足りないかもしれないけど、皆さん一応いらっしゃいますよね? いらっしゃる方々の中で、少ないながらも、何か工夫できることはないのですか? 例えば、仕事の仕方を変えるとか、院内連携のあり方を変えるとか、地域連携のあり方を変えるとか‥」、そして「応召義務は、文字通り皆さんの“義務”です。でもそれ“だけ”では経営が持たない。逆に言えば、その義務を果たすために、点数の高い分野(A・B群)では業務効率化が必要だし、点数の低い分野(C・D群)では地域連携が不可欠。そのA・B群ではどんな効率化策が考えられると思いますか?(点数が高いのを良いことに、ムダを放置していませんか?)、同じくC・D群ではどんな連携強化策があると思いますか?(連携は面倒、自分たちで処理したほうが手っ取り早い、とか考えてませんよね?)」。
毎回のごとく研修会場は、この段階でシーンと静まりかえってしまいます。でも押し黙っているのではなく、医療従事者の皆さんは非常に真面目なので、悶々と頭の中で「色々と方法を」考えて倦ねているのです。講師側としては、この「間(ま)」に耐えつつ、皆さん個々人の中にある「自分のせい」が出てくるのをじっと待たなければなりません。
さぁ私としては、ここからが研修の本番です。参加者からのネガティブが出きったところで、こう問いかけます。まず「医師も看護師もPT・OTもMSWも、確かに足りないかもしれないけど、皆さん一応いらっしゃいますよね? いらっしゃる方々の中で、少ないながらも、何か工夫できることはないのですか? 例えば、仕事の仕方を変えるとか、院内連携のあり方を変えるとか、地域連携のあり方を変えるとか‥」、そして「応召義務は、文字通り皆さんの“義務”です。でもそれ“だけ”では経営が持たない。逆に言えば、その義務を果たすために、点数の高い分野(A・B群)では業務効率化が必要だし、点数の低い分野(C・D群)では地域連携が不可欠。そのA・B群ではどんな効率化策が考えられると思いますか?(点数が高いのを良いことに、ムダを放置していませんか?)、同じくC・D群ではどんな連携強化策があると思いますか?(連携は面倒、自分たちで処理したほうが手っ取り早い、とか考えてませんよね?)」。
毎回のごとく研修会場は、この段階でシーンと静まりかえってしまいます。でも押し黙っているのではなく、医療従事者の皆さんは非常に真面目なので、悶々と頭の中で「色々と方法を」考えて倦ねているのです。講師側としては、この「間(ま)」に耐えつつ、皆さん個々人の中にある「自分のせい」が出てくるのをじっと待たなければなりません。
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